1.眠れない犬たち─科学的研究の始まり
ピエロンの犬と「睡眠毒素」/石森の犬と「催眠性物質」/
眠り病と睡眠中枢
2.神話と幻想の世界─眠りの精のふるさと
眠りの神ヒプノス/睡魔と悪魔/眠りを与える妖精たち/
美女プシケと灰坊
3.哲学から科学へ─古代から近代まで
アリストテレスの推理/古代中国の睡眠学説/
貝原益軒の「養生訓」/アレクサンダー・フォン・フンボルトの酸素欠乏説
4.手探りの時代─睡眠学のあけぼの
ホルモンの発見時代と睡眠物質/ピエロン説の追証/
そのほかの泡沫候補たち/ナタニエル・クライトマンの引導/
脳波の発見/レム睡眠の波紋
5.本格研究の開始─先陣争いの時代
コルンミュラーの猫と「睡眠ホルモン」/
モニエの兎と「睡眠誘発因子デルタ」/
パッペンハイマーの山羊と「睡眠促進因子S」/
内薗の鼠と「睡眠促進物質(SPS)」/
だれが先か、どれが本物か
6.ひしめく候補たち─新たな発見の時代
流行研究のきざし/松本−ジュヴューの「モノアミン説」/
松果体の分泌するメラトニン/メキシコの猫と「レム蛋白質」/
性ホルモンと睡眠パターン/脳脊髄液のなかの「ガンマブロム」/
睡眠と冬眠にかかわるピペリジン/脳脊髄液のなかの活動リズム物質/
もう一つの松果体ホルモン─AVT/
まぼろしの睡眠物質「ソマトスリーピン」
7.デルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)─スイスの研究
睡眠誘発因子デルタの正体/合成法と誘導体/血液脳関門を通れるか/
動物によってはレム睡眠も促進する/体内のどこに存在するか/
多すぎてもすくなすぎても無効/脳のなかでなにをしているか/
睡眠物質を誘発させるだけでない−多彩なはたらき/期待される役割
8.睡眠促進物質(SPS)─日本の研究・その一
第一の障害を越えて/国際睡眠学会とジュヴェーのお墨付/
第二の障害を越えて/SPS−Bのデビュー/
ウリジンの単離と同定/世の中の様変わり/ウリジンの効果/
昼夜リズムや用量による効果の違い/SPS−Bの精製
9.細菌が授ける眠り─アメリカの研究
ムラミルペプチドの登場/SPUの正体/脳のどこに効くか/
睡眠の免疫学説/ムラミルペプチドは睡眠ビタミンである/
こうも考えられないか
10.プロスタグランジン(PGD2)─日本の研究・その二
偶然の贈り物/共同研究の開始/PGD2の資格審査/
脳内の受容体はどこにあるか/阻害剤で睡眠量がへってしまう/
日米の件貝の相違
11.集い会う眠りの精たち─あいつぐ国際会議の成果から
谷口国際シンポジウム/死闘か協調か/ミクロとマクロのアプローチ/
レム睡眠誘発物質の新顔/インシュリンは睡眠ホルモンか/
ベンゾジアゼピン受容体と抗ヒスタミン物質/
カノコソウに潜む眠りの精
12.進化する眠りの精─睡眠物質の存在意義
新時代の幕開き/新しい疑問/睡眠の進化を考える/
睡眠物質の進化/新技術としての睡眠/眠りの完成度
感謝のことば
事項索引
人名索引